2019.07.10 FX

ドル円、パウエルFRB議長議会証言控えて動意に乏しい展開か

本日の東京市場のドル円は、本日23時からのパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言(下院金融サービス委員会)を控えて動意に乏しい展開が予想される。
パウエルFRB議長は、昨年末までは中立金利水準にはまだ距離があるとして、段階的な利上げとバランスシートの自動操縦的な縮小という二重の金融引き締めに邁進するタカ派であり、米連邦公開市場委員会(FOMC)は2019年の利上げ回数を2回と示唆していた。しかし、今年になってからは、利上げに対して「忍耐強く」なり、バランスシートの縮小の停止を決定し、6月のFOMCでは、景気拡大を持続させるために「適切に行動する」として予防的利下げを示唆するハト派となり、年内の利下げを予想するメンバーが8名となった。
本日の議会証言では、史上最長の景気拡大期の中で、失業率は歴史的な低水準となり、ニューヨーク株式市場が史上最高値を更新する環境下での予防的利下げの意義が問われることになる。
米6月非農業部門雇用者数(前月比+22.4万人)を受けて、7月30-31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で予防的利下げの確率は、0.50%は低下しているが、0.25%は依然としてほぼ確実視されている。
懸念材料は、インフレ率が2.0%に満たないこと、長短金利逆転(逆イールド)によるリセッション(景気後退)警告、すなわち、米10年債利回りが3カ月物財務省短期証券(TB)金利だけでなく、FF金利誘導目標(2.25-50%)も下回っていること、などが挙げられる。
0.50%の利下げ(確率0.5%)が示唆された場合、トランプ米大統領による圧力に屈服したことになり、ニューヨーク株式市場は歓迎しつつも、パウエルFRB議長への信頼感は失墜する。