2019.07.16 FX

ドル円、米国6月小売売上高・鉱工業生産控えて動意薄か

本日の東京市場のドル円は、今夜発表される米中貿易戦争の影響を受けた米国6月の鉱工業生産、小売売上高への警戒感から動意に乏しい展開が予想される。
ドル円は、7月30-31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での予防的利下げ観測が高まっていること、イランと米国の軍事衝突の可能性が高まっていることなどで、軟調な展開となっている。

中国6月の小売売上高は前年比+9.8%、鉱工業生産は前年比+6.3%となり、5月及び市場予想を上回った。米6月小売売上高と鉱工業生産が5月及び市場予想を下回るネガティブサプライズとなった場合、中国の1-6月期対米貿易黒字(1404.8億ドル)が昨年同時期(1337.6億ドル)を上回っていたこともあり、トランプ米大統領による「為替操作」への言及に要警戒となる。さらに、パウエルFRB議長の「不確実性(uncertainty)」への警戒感が高まることで、7月30-31日のFOMCでの0.50%の予防的利下げ観測を高めることになる。逆に中国同様にポジティブサプライズとなった場合、0.25%の利下げ観測が後退する可能性が高まることになる。

パウエルFRB議長は議会証言で「適切な行動」としての予防的利下げの理由として、米中貿易戦争、ブレグジット(英国の欧州連合からの離脱)、そして債務上限問題を挙げていた。12日にムニューシン米財務長官は、ペロシ米下院議長に対して、議会が米国の借り入れ権限を引き上げなければ、政府の手元資金は9月初旬に底をつく可能性があると警告しており、米議会が7月26日に夏季休会となる前での債務上限引き上げへの警戒感も、ドル円の上値を抑える要因となるのかもしれない。
米中通商協議に関しては、ムニューシン米財務長官が今週予定されている米中貿易戦争の休戦後2回目となる電話協議が生産的ならば訪中する可能性がある、と述べており、訪中予定が示されなければ生産的な協議とならなかったことになる。